ビール缶のふたなどに点字のようなポツポツがありますが、どんな意味があるのでしょうか。
缶ビールのプルトップの横にある小さな突起の集合体は、まさしく点字です。
目の不自由な人がジュースなどの飲料を買おうとして間違って酒類を買ってしまわないようにするための点字です。
日本人にとって当たり前のこんな配慮に、外国人は驚くようです。
そこで、ビール缶の点字について述べ、私たちの身の回りに意外と多くある点字もご紹介しましょう。
点字が意味するものは?
ビール缶のふたに点字を入れたのは、1997年のキリンビールが最初と思われます。
今では各社とも点字を導入しています。
当初は「ビール」と刻んだ会社もあるようですが、現在は各社とも「おさけ」で統一しているようです。
また、ビールだけでなく、発泡酒、リキュールなどにも250ml、350ml、500ml缶には「おさけ」と表示されています。
125ml缶は小さいので、スペースの関係上「さけ」と点字されています。
では、各社の説明を見ていきましょう。
キリン
アサヒビール
サッポロビール
サントリー
目の不自由は方に酒類だと分かるように点字を入れている細やかな気配りは、いかにも日本的と言えます。
\点字を知りたい方におすすめの本/
化粧品にも点字が
化粧品にも点字があることに気づきました。
妻が使っているメイク落としにもありました。
この商品の点字は、「メイク落とし」と書いてあるようです。
そこで調べてみると、コーセーの商品は、「点字対応〜全ての人が使いやすい商品を目指して〜」、点字を入れてているようです。
トイレのリモコンにも
写真はパナソニックのアラウーノのリモコンですが、「ビューティ・トワレ」の操作部でもユニバーサルデザインで、点字付きとなっています(一部除く)。
TOTOは、点字シールで対応しているようで、TOTOのサイトから請求できるようになっています。
LIXIL(INAX)は、点字に対応している商品と点字シールで対応している商品があるようです。
実は身近に意外とある点字[点字ブロック、信号機、券売機、公衆電話、郵便ポスト]
点字ブロック(視覚障害者誘導用ブロック)日本人が考案し世界へ普及
俗に点字ブロック(Braille block )と呼ばれる歩道の黄色い帯は、正確には視覚障害者誘導用ブロック(Tactile paving)というのだそうですが、誰もが目にするこのブロックが日本人によって考案され、世界に広がったことを知る人は意外と少ないように思います。
点字ブロックは、1965年(昭和40年)に三宅精一氏が点字にヒントを得て考案したもので、1967年(昭和42年)3月18日、岡山県立岡山盲学校に近い国道250号原尾島交差点周辺に世界で初めて敷設されました。
ここが点字ブロック発祥の地であり、2010年(平成22年)には、同交差点に記念の石碑が建てられました。
その後さまざまなブロックが製造されて普及したため、視覚障害者から統一してほしいとの要望が出され、日本工業規格(JIS)は、2001年(平成13年)にJIS T9251(視覚障害者誘導用ブロック等の突起の形状・寸法及びその配列に関する規定)が定めれました。
点字ブロックは、日本国有鉄道(後のJR)に採用されてから急速に普及し、1985年には「視覚障害者誘導用」と正式に命名されました。
2012年(平成24年)には、点字ブロックの国際規格が、日本のJISを基に定められました。
現代では、ブロックの表面は次の2種類があります。
小さな丸い凹凸を足裏で感じるタイプ
細長い凹凸が設置されている方向指示器のタイプ
まず、アジアのシンガポールのMRT(地下鉄)、LRT(ライトレールトランジット)、韓国の地下鉄などで導入されました。
2000年に開催されたシドニーオリンピックでは、各施設で触覚タイルが採用され、オーストラリアの公共交通機関でも触覚タイルが普及しました。
その後、イギリスやアメリカなど世界中の主要都市に普及して行きました。
視覚障害者用音響式信号機
横断歩道の手前の信号機支柱には、「視覚障害者用音響式信号機」が取り付けられていることがあります。
音響式信号機とは、信号機が青になったことを視覚障害者に知らせる誘導音を出す装置がついている信号機のことです。
音響式信号機には以下の2方式があります。
- メロディ式…「とおりゃんせ」や「故郷の空」等の音楽が流れる
- 擬音式…「ピヨピヨ」や「カッコウ」等の音が流れる
警察庁によると、音響式信号機は、平成31年3月末現在、全国で約20,013基(メロディ式約442基、擬音式約19,571基)が設置されており、そのうちの約99.8%が擬音式だそうです。
警察庁は2003年(平成15年)から擬音式の異種鳴き交わし方式の整備を進めています。
しかし、視覚障害者の中には、メロディ式のほうが青信号に変わってからの時間や方向が認識しやすいといった声も挙がっているようです。
公衆電話
「カード入り口」とか、「返却口」と点字されています。
自販機
大手飲料メーカーのダイドードリンコによると、2005年以降の自販機は、コイン投入口、おつり・返却レバー、コイン返却口、紙幣挿入口に点字を貼付しているそうです(一部自販機を除く)。
また、ユニバーサル自販機は、商品取り出し口にも点字を貼付しています。
郵便ポスト
お願い
左側には
手紙・はがきを
お入れください
右側には
大型郵便
速達郵便
電子郵便(レタックス)
というようなことが点字で書かれています。
鉄道の券売機
↓アップ!
JRを例に見てみましょう。
一部の駅では、金額の数字を押してきっぷを購入いただけるように、数字キーが付いているタッチパネル式券売機が設置されています。
自動券売機のそばには、目の高さ辺りに「点字運賃表」が設置されています。
タッチパネル式券売機(傾斜型券売機)には、数字のテンキーが付いており、金額の数字を押してきっぷを購入することができます。
また、テンキーの「*」を押すと、音声ガイダンスに従って購入することもできます。
JRの点字対応
自動券売機のそばには、点字運賃表が設置。駅のホームやコンコースにおいて、視覚障害者誘導用ブロックを設置。駅のホームにある階段の手すりに、点字テープ等を貼り、列車の番線や出口などを案内。自動改札の駅係員のいる通路には改札位置を知らせる誘導チャイムを設置。
私鉄の点字対応
小田急 全ての券売機に点字案内を備え付けているほか、改札口や券売機などの場所をご案内する「触知案内板」を全駅に設置。「誘導ブロック」や改札口の場所を音で知らせる「誘導チャイム」を全駅に設置。さらにホームから出口に通じる階段の位置を、鳥のさえずり音で知らせる装置の設置を進めている。
東京メトロ 視覚障害者が利用しやすいよう、音声案内やテンキーを備え付けた新しい券売機(英語表示にも対応)を導入
西武鉄道 点字運賃表、点字手すりプレートなどをすべての駅ではないが多く設置。
東武鉄道 公式サイトで調べた限り、多言語への対応は記されていたが、点字への対応の記述は見つけられなかった。
京成電鉄 駅に設置されている券売機横に点字運賃表を、 トイレの入り口にはトイレの点字案内板を全駅に設置
東急電鉄 「あいうえお順」の点字運賃表をすべての駅の券売機付近に設置。全駅の階段の手すりなどに点字シール。線路への転落を防ぐためエレベーター前に設置された柵と、目の不自由なお客さまのための誘導ブロックを設置。階段の先端を分かりやすくするために、赤と黄色の標識シールの整備を順次設置。
ゆりかもめ 駅構内案内図、トイレ案内図、精算所には、点字パネルと音声ガイドを設置。運賃表が金属の点字板で各券売機の右側に貼られ、テンキーの音声案内で切符を買うことが可能。
まとめ
ビール缶などの酒類の缶のふたにあるいくつかの点の突起は「おさけ」を意味する点字。
視覚障害の方が、酒類を間違って買わないようにと、恐らくキリンビールが始めた日本的な配慮です。
このように私たちの身の回りには、視覚障害者に対して実は多くの気配りがなされています。
ちょっと散歩に出ただけで、気をつけて見てみれば、公衆電話、郵便ポスト、駅の券売機、歩道の点字ブロックなどの点字などに気が付きます。
点字ブロックは、日本人が考案して世界に広がった、すばらしいアイデアです。
あなたも、点字やバリアフリーなど日本の社会が示す優しさを家の中や近所で、あるいは通勤通学途中で見つけてみませんか。