腐ったみかん or 腐ったりんご,正しいのは?意味は?金八?

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はてなちゃん

「腐ったみかん」と「腐ったりんご」どちらが正しいのでしょうか。

そんなあなたの疑問にお答えします。

日本では「腐った蜜柑(みかん)」が正しいと思っている人が多いと思います。

しかし、歴史的には「腐った林檎(りんご)」が正しいようです。

その辺を詳しく解説します。

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「腐った林檎」

いわゆる「腐った林檎」の起源は、14世紀のラテン語のことわざ「pomum compuctum cito corrumpit sibi junctum.」にあるそうです。

これは、「傷のある林檎は自分に接するものを早くダメにする」という意味です。

それが英語になると、次のような言葉になりました。

The rotten apple injures its neighbors.

訳すと、「腐った林檎は周囲を腐らせる」といったところでしょうか。

One rotten apple spoils the whole barrel.

という表現もあります。

これは、「1個の腐った林檎は樽(たる)全体を腐らせる」という意味です。

同じ意味で、

One bad apple spoils the barrel.

とも表現されることがあります。

A bad apple spoils the bunch.

も同様です。

bunchとは、房や束を意味し、たくさんとか大量の意味もあります。

樽の中の腐った林檎1つを放置しておくと他の多くの林檎を腐らせてしまう、という諺です。

つまり、ヨーロッパでは林檎が、こうした例えに使われたというわけです。

それぞれ微妙に異なった表現ですが、林檎であることに変わりはありません。

「腐った蜜柑」

日本では、どうでしょう。

樽や箱に入った林檎のイメージが湧きません。

箱一杯のりんごというのは、林檎農家か果物屋でもないと見かけません。

いわゆるみかん、つまり「温州(うんしゅう)蜜柑」は、日本では冬の風物詩とも言えるものだったため、みかんに喩えるほうが、感覚的にフィットしたのでしょう。

「腐った蜜柑」の喩えが広く知られるようになったのは、1980-1981年に放送されたドラマ「3年B組金八先生」第2シリーズによってでした。

「箱の中に一つの腐った蜜柑があると、他の蜜柑も腐らせてしまう。だから腐った蜜柑は早く取り除かなければならない」
という「腐った蜜柑の方程式」が当時、話題になりました。

加藤優という生徒がこの方程式によって前の学校を追い出され、金八先生の学校にやって来たのです。

武田鉄矢さんが演じる金八先生は、保護者の前で涙ながらに訴えます。

「つらいことがあって、あちこちぶつかっていれば、そりゃどこか腐って来る。だが、私たちは蜜柑を作っているんじゃない。人間を作っているんです。人間の精神が腐るなんてことは絶対ない」

感動的なシーンでした。

こうして日本では「腐った蜜柑」の喩えが広く普及しました。

「腐った卵」

by Rio Lecatompessy

余談ですが、「腐った卵」の意味、分かりますか?

先日、アメリカのドラマを観ていたら、「腐った卵」という表現が出て来ました。

英語だとbad eggですね。

アメリカでは、りんごでもみかんでもなく卵かと何となく一瞬思ったのですが、そんなはずはありませんよね。

卵が一個腐ったからと言って、周囲の卵が腐るわけありません。

殻に守られていますから。

この言葉は、林檎や蜜柑の喩(たと)えとは異なり、「悪いヤツ」、「悪人」、「悪党」という意味の俗語でした。

badは食べ物にかかる場合、「腐った」という意味になりますので、bad eggとは、直訳では「腐った卵」ですが、これが「悪党」と転じるのは面白いですね。

  • さえない冗談、下手な演技
  • へまな計画、期待外れ

という意味も俗語としてあるようです。

まとめ

「腐った林檎」の喩えの起源は14世紀ごろの「傷のある林檎は自分に接するものを早くダメにする(pomum compuctum cito corrumpit sibi junctum.)」というラテン語にあると言われます。

pomumは林檎または果物を意味するそうです。

それが、The rotten apple injures its neighbors.(1個の腐った林檎は周囲の林檎を腐らせる)という英語になって日本に入って来たようです。

ではなぜ「腐った蜜柑」という言い方が広まったかというと、日本では1個の蜜柑が腐ると他の蜜柑に腐敗が広がるというイメージのほうが抱きやすかったためと思われます。

それが定着したのは、1980-1981年に放送された武田鉄矢さん主演のドラマ「3年B組金八先生」第2シリーズにおいて、「腐った蜜柑の方程式」なるものが取り上げられたことにあるようです。

通常「みかん」と呼ばれる温州蜜柑(うんしゅうみかん)は中国起源ですが日本で栽培が普及したため、英語では「Satsuma Mandarin」 、「Satsuma」、「Mikan」などと呼ばれるほどで、14世紀のヨーロッパには存在せず、一般的な果物である林檎が喩えに使われたのでしょう。

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