30年の住宅ローン返済が終わり、抵当権の抹消手続きを、司法書士に依頼せず、自分でやってみました。
こういう手続きって専門家にお願いしないとできないと思っている人が意外と多いのですが、小さい会社なら決算や青色申告なども税理士や公認会計士に頼まなくてもできるんですよ。
資格を持っていないと代理はできませんが、自分でやる分には資格は不要です。
会社の決算とは異なり、住宅の抵当権の抹消申請は、一生に一度のことでしょうから、覚えても次に生きません。
司法書士に任せても良いのですが、手数料がバカになりませんし、何事も経験と思い、いざ実行です。
申請に必要な書類を取り寄せる
まず銀行の担当支店に電話しました。
30年前にローンを組んだ銀行の支店です。
私の場合は、みずほ銀行の某支店です。
当時は富士銀行でした。
すると、書類送付まで1ヶ月はかかると言われました。
チャットのAIは、店頭で書類を受け取れと言いました。
話が食い違っているので、コールセンターに電話したら、抵当権については支店に聞いてくれとのこと。
支店とAIチャットの言うことが違うので、第三者に聞こうとしたのに、支店に差し戻し。
銀行というのは役所と似ています。
食い下がったら、上席につなぐからというので了承したら、出て来たのは最初の担当者でした。
上席は来客中で出られないということでした。
終わり次第電話をもらうことになりました。
2時間後くらいに電話があり、急げば2週間くらいで書類を送ることができるとのことでした。
チャットのことを指摘したら、困ったようでした。
支店ごとに違うのなら、そうチャットロボットに言わせれば良いでしょ?
と言うと、そうですねとの返答。
振り回されて大変でした。
届いた書類の内訳
ともあれ2週間後に、書類が届きました。(10月15日付発送)
届いた書類は、
- 抵当権設定契約証書 2通
- 代物弁済予約および停止条件付賃貸借契約証書 2通
- 抵当権解除証書 1通
- 委任状 3通
- 印鑑証明書 2通
- 解除証書 2通
- 履歴事項一部証明書 1通
- 閉鎖事項一部証明書 1通
- 金銭消費賃借契約証書 1通
- 金利変動型ローンに関する特約書 1通
これは特殊です。
なぜかと言うと、購入時に不動産屋のミスでローンが二口に分かれてしまったこと、そして銀行が富士銀行からみずほ銀行になり、それに伴いローン会社も富士銀クレジットからみずほ信用保証に変わったからです。
登記識別情報通知があれば、それを使いますが、私の場合は送られてきませんでしたので、登記済証の原本を提出することに。
法務局のサイトから申請書をダウンロード
まず、法務局のホームページへ行き、抵当権抹消のための申請書のテンプレートをダウンロードします。
それをプリントして手書きしても良いのですが、書き直しが必要になった時に大変ですから、テンプレをアプリに読み込んで文字を入力するか、テンプレと同様のテキストを打ち込むかします。
私の場合、妻との共同名義なので、法務局に電話で名前を併記すれば良いか問い合わせたところ、それで良いとのことだったので併記しましたが、後に窓口での相談では2人の住所と名前が必要だと言われました。
法務局側が併記で良いと言ったのは、住所と名前を書くのが当然と思っているからという話でしたが、私は名前を併記すれば良いかと聞いたのであり、それに対してイエスと返答したのはやはり誤りでしょう。
結局電話では埒があかないので、速い段階で法務局の相談窓口に行ったほうが良いかもしれません。
疑問点を地元の法務局に電話で問い合わせ
銀行から書類が届き、法務局のサイトから申請書のテンプレをダウンロードし、記入する段階で、疑問点がいくつか出てきたため、法務局に電話で問い合わせることにしました。(10月28日)
質問は次の4点です。
- ローンが2口に分かれている。書類も2通必要か?1通で良い?その場合書き方は? 2つ続けて書く? 最後の方で良い?→答え 解除日が異なる場合は申請書2通必要 印紙も倍かかる
- 登記識別情報が銀行から送られて来なかった。抵当権設定契約書(原本)を提出すれば良い?→答え 原本で良い
- 住所の表記が区画整理や市の合併によって当時とは変わっているが、抵当権解除証書に記載の住所を転記すれば良いか。→答え 住所変更登記が必
- 2人の共同名義になっているが、申請書の記載は名前を併記すれば良いか。→答え 併記で良い
住居表示の証明書と変更登記も必要で
3番めの問題も私の場合絡んで来て、非常に厄介でした。
調べると、役所の証明書が必要とのこと。
区画整理と合併によって住所表記が変更された証明書が必要だと言うのです。
公が勝手に変えたのに何で私がそんな面倒なことをしなくてはいけなんだと思いましたが、公というのはそういう理不尽なものだと、この歳になると諦めがついているので、行って来ました。
まさかその証明書の発行にも手数料が取られたりしないだろうなとの懸念はありましたが、流石にそれは要求されませんでした。
書類は以下の3通でした。
- 行政区設置証明書
- 住居表示変更証明書
- 証明書
こんなの無くても役所同士のネットワークで自動化できないのかと呆れるが、言ってもしょうがないという諦めの境地。
法務局の相談窓口へ
ネットで調べたり、法務局に尋ねたりして、何とか書類を整え、法務局へ持って行きました。(11月5日)
相談窓口があるということなので、そこで書類をチェックしてもらってから提出するという段取りです。
午前9時前に着いたのですが、予約してあるかと聞かれました。
予約制だというではないですか。
えっ、そんなのどこに書いてあった?
地元法務局のホームページは作りが悪くて、たとえば地図のページには電話した時の質問内容による分類番号は書いてあっても、何曜日の何時から何時という記載もありません。
役所だから平日しかやっていないのはわかり切っているだろうということなのでしょう。
時間にしても、役所だから…ということなのでしょうが。
表記の間違いを修正し再度相談窓口へ
まあ、予約はしてなくても、たまたま9時からが空きがあり、15分ほど待ちましたが、相談出来ました。
書類を見てもらい、不明な点、表記方法の誤りなどを教えていただきました。
かれこれ1時間ほどかかったでしょうか。
指摘された点をメモして、家に帰ってパソコンで修正し、もう一度チェックしてもらうことになりました。
午後の2時半なら空きがあるということでしたので、その時刻までに直して再訪することに。
帰り掛けに、登記事項証明書(かつての登記簿謄本)を念のために取りました。
土地、建物、私道の3通で各900円計2700円の印紙代がかかりましたが。
でも、これが後で再度書類チェックを受ける時に役に立ちました。
さらに指摘されたところを手書きで修正し、印紙を買って貼り、窓口に提出しました。
それと引き換えに、「登録完了予定日のお知らせ」という紙をもらいました。
11月20日までに法務局から電話連絡がなければ問題なかったということですから、その日以降3ヶ月以内に、申請書に押印した印鑑と提出時に窓口で受け取ったその「お知らせ」を持って法務局の窓口に行き、登記完了の書類を受け取ることになります。
書類に不備があれば再た修正しなければなりません。
「代物弁済予約および停止条件付賃貸借契約証書」が不足
11月12日午後、銀行から電話があり、「書類が紛失したと法務局から連絡があったが、送ったはず」だと言われました。
「代物弁済予約および停止条件付賃貸借契約証書」が必要だというのです。
それが紛失したなら、面倒な手続きが銀行で必要になると言われました。
しかし、その契約書は紛失したわけではなく、手もとにありますので、すぐその旨を伝えました。
法務局の相談窓口を訪ねた時、1度目はその契約書のことを何も言われませんでした。
実はその時、念のため契約書を持っていたのですが、事前にネットで調べた限りでは不要かと思い、出しませんでした。
相談員のミスだけど助けてももらったし
2度目の相談時、相談員が自分のミスに気づいたせいか、独り言のように、「本当は契約書があるはずなんだけど、紛失ってことでいいや」みたいなことを呟いて、申請書の「登記識別情報を提供することができない理由」の項目の「その他」にチェックを入れ、括弧内に「紛失」と書くよう私に指示したのです。
ちゃんと言ってくれればその契約書をその時も持っていたのですが、よくわからないままに言われるままに「紛失」として書類を提出しました。
そのためこうした騒ぎになって再び法務局に出向かねばならなくなってしまいました。
そうした経緯は銀行にも法務局にも言いませんでした(銀行には相談窓口でチェックしてもらったことは言いましたが)。
相談員のミスですが、他の面では助かりましたし、ウチの件は複雑なため相談人も混乱したのだろうとも思ったし、今さら相談員を非難しても仕方ありませんので。
手続き終了
不足していた契約書原本とそのコピーを持って担当者に会い、書類を渡しました。
担当者は原本をチェックし、言いました。
「他は問題ありませんので、先日お渡しした『お知らせ』の日程で登記は完了すると思います」
何はともあれこれで手続きは終了です。
完了証と返還書類を受け取る
11月25日、抵当権抹消登記完了証を受け取りに、「お知らせ」と印鑑を持って、法務局の窓口に行きました。
そうしたら、妻との共同名義のため、妻の印鑑も必要で、それがないと渡せないと言われました。
何とかならないのかと一応は食い下がりましたが、そこはお役所のこと、融通が効きません。
窓口の若い男性は一度奥に下がって再び現れた時は上司の女性と一緒で、その女性職員が偉そうで感じが悪く、一歩も引かずといった感じ。
受け取るだけだから筆者の印鑑だけで良いと思ったのですが、多分お役所仕事だからムダだと思いつつも一応、再度何とかならないのかと食い下がりましたが、やはりダメで、出直すことにしました。
11月28日、妻の押した印の判子を持って法務局へ。
今度は無事、完了証と返還書類を受け取ることができました。
共同名義とはいえ、受け取りは筆者の印鑑だけで良いと思うのですが、それに本人ではなく判子さえあれば良いというのもおかしな印象を受けました。
我が国がいかに印鑑社会であるかという証左ですね。
まとめ
抵当権抹消登記申請を司法書士に依頼せず自分で行った顛末を記しました。
抵当権抹消の手続きを簡単におさらいします。
まずは、
1,
銀行に必要書類を早急に送ってもらうよう依頼します。
届いた書類は、
- 抵当権設定契約証書 2通
- 代物弁済予約および停止条件付賃貸借契約証書 2通
- 抵当権解除証書 1通
- 委任状 3通
- 印鑑証明書 2通
- 解除証書 2通
- 履歴事項一部証明書 1通
- 閉鎖事項一部証明書 1通
- 金銭消費賃借契約証書 1通
- 金利変動型ローンに関する特約書 1通
これらのうち抵当権抹消申請に必要な書類は、9と10を除く以下の書類。
- 抵当権設定契約証書 2通
- 代物弁済予約および停止条件付賃貸借契約証書 2通
- 抵当権解除証書 1通
- 委任状 3通
- 印鑑証明書 2通
- 解除証書 2通
- 履歴事項一部証明書 1通
- 閉鎖事項一部証明書 1通
2,
法務局のホームページから申請書の雛形(テンプレート)をダウンロードし、記入捺印し、上記の書類を添えて法務局に提出します。
3,
その時受け取った「お知らせ」に日にちが書かれており、その日までに法務局から何の連絡もなければ問題ないので、その日にち以降に完了証を受け取りに行きます(もし、問題があれば連絡がありますので、その指示に従い修正します)。
4,
印鑑と「お知らせ」を持って法務局の不動産登記窓口に行き、抵当権抹消登記完了証と返還書類(原本など)を受け取ります。
以上です。