綾瀬はるかと高橋一生がダブル主演のドラマ『天国と地獄〜サイコな2人〜』を観ていたら、「知らぬが花」というセリフが耳に入って来た。
えっ?と思った。
筆者と同じ思いをした人は知的レベルが高い!?
「知らぬが花」???
聞き間違いか役者が間違ったのかと思ったが、しばらくして再び「知らぬが花」というセリフが繰り返された。
これは聞き間違いでも役者のミスでもなく、脚本がそうなっていたということだろう。
最近、この手の間違った表現がテレビで多く聞かれ、気になって仕方ない。
間違った表現と今述べたが、分かる人はすでに分かっているはず。
正しくは「知らぬが仏」。
「知らぬが仏」
では、なぜ、「知らぬが花」と誤用されているかと言うと、「言わぬが花」という言葉が存在するから。
「知らぬが仏」と「言わぬが花」が誤って混ざってしまったということだ。
意味を見て行こう。
「知らぬが仏」とは、事実を知らないがゆえに心を乱されない仏のようにいられるという意。
日本は仏教国であったため、仏教に由来する言葉が多いのは周知の事実だが、仏とは仏教のブッダ、つまり悟れし者、覚者を意味する。
悟った人は心を乱すことがない。知らなければ誰でもそのような覚者でいられる、知らないほうが良いこともあるという意味だ。
これが後に、本人だけ知らないで平然とするさまを嘲っていう表現にも使われるようになった。
「言わぬが花」
一方、「言わぬが花」だが、口に出して言わないほうが味わいもあり、差し障りもなくてよいという意味。
この2つをゴチャゴチャにしてはいけない。
しかし、現実にはこの2つの言葉は混ざって誤用され、遂にはドラマで堂々と使われた。
しかも高視聴率ときているから厄介だ。
間違った日本語がさらに拡散することが必至だからだ。
テレビ制作サイドのレベル低下
一般の人がつい誤って口に出してしまうのは致し方ないにしても、脚本家が誤用するのはいかがなものかと思う。
また、それをチェックできない監督やプロデューサーを初めとする制作スタッフもどうかと思う。
誰も指摘できないとは…。
これは言葉を使って表現する制作側のレベルがここまで落ちているということを意味する。
最近あまりに多いので、気にすまいとも思ったりするのだが、これはさすがに放っておけず、こうして記事にすることに。
まとめ
- 「知らぬが花」は明確な間違い。
- 正しくは「知らぬが仏」。
- 悟った人は心を乱すことがない。知らなければ誰でも覚者のように平静でいられる、知らないほうが良いこともあるという意味だ。
- 「知らぬが花」は、「言わぬが花」と「知らぬが仏」が混ざった誤用。
- 「言わぬが花」は、口に出して言わないほうが味わいもあり、差し障りもなくてよいという意味。
- このような間違いが日本のテレビドラマで堂々と放送されるほど日本語は乱れて来ているし、テレビ制作サイドの知的レベルは非常に低下している。